2014ー15年度クウェート政府奨学金を受け、クウェートにてアラビア語を学んだ記録。アラビア語やクウェート生活について。
noteに投稿した記事に加筆修正を加えて掲載しています。

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2014年9月11日木曜日

労働と生活——クウェートの労働者たち Sep 8, 2014

【追記】
All Aboutのnews dig——事情ツウたちの時事コラムに掲載されました!
クウェート留学生は考えた「なぜクウェートにはインド人労働者が多いのか?」



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クウェートに到着した朝、ひとまず寮へ向かい荷物を運び込むと、インド人女性が床をピカピカに磨き上げていた。
レセプションのアラブ人が彼女たちに指示し、掃除をしていた彼女たちが私たちの部屋に重い荷物を運び込んでくれた。

彼女たちは朝から働いている。
寮の全体を綺麗にし、寮に暮らしている私たち学生が出したゴミを全て回収し、掃除までしてくれるのだ。

私は彼女たちに挨拶するのを決して忘れないように心がけている。

寮の外でもたくさんのインド人が働いている。
寮の周囲の庭園で、男性の労働者が手入れをしていた。たぶん、バスの運転手もインド人。
大学のカフェテリアでも、インド人の労働者が男女含めて働いており、学生がお皿を席に残したまま立ち去ると、すかさずそれを回収する。
City Centerというスーパーでは、労働者が品だし・レジの仕事をしている。
レジにはそれぞれ2人以上の従業員がつき、片方がレジの仕事を、もう片方が商品を袋につめる仕事をしている。
通学のバスからは工事現場が見える。よく観察すると、灼熱の太陽の下でインド人だろうと思われる労働者が働いていた。
彼らは一体この国で何を作るのだろう。

彼らが貧困に喘いだ暮らしをしているのかと言うと、どうもそうではないように思えてならない。
仕事の内容こそ日本で言うところの「低所得者」の仕事であるかもしれないが、クウェートで男女の境界がはっきりしているように、外国人労働者、クウェート人やアラブ人、その他の外国人(ごく少数ではあるが)というふうに上手に住み分けがなされているのではないかと見ている。
それなら、みんな割り切って暮らしていると思えばとてもしっくりくる解釈にならないだろうか。

ただ、正直なところまだほとんど大学と寮の往復しかしていないので、わからないことだらけだ。
労働者の彼らがどのような生活をしているのか、なかなか見えてこない。
クウェート人が住んでいる城のような家に暮らしていないのは確かだろうが。

この国では、清掃など生活に密着した部分をほとんどが労働者の手によって行われる。
私が寮でしなければならない家事と言えば洗濯と自室の簡単な掃除くらいで、あとは彼らがすべてやってくれるのだ。
このような生活は快適であるのは間違いないが、ときどき「これくらいは自分でできるのに」と、プライドが傷ついてしまうことがある。
日本で一人暮らしをしていた頃、狭い家に住んでいたとは言え、全ての家事をこなさなければならなかった。
私だって、ゴミ出しくらいはできるのだ。

このような生活を当たり前と思わない感覚を持ち合わせている自分を誇りに思うと同時に、これまでの生活と今の生活に感謝する。

今朝、隣室の日本人と寮のカフェテリアで朝食をとりながら、アラビア語の挨拶を練習した。
朝食を終え、部屋に帰るエレベーターの中でインド人の労働者である女性に出くわし、友人がアラビア語で挨拶した。
彼女は私たちに「その挨拶はアラビア語。私はヒンディー系だ」と英語で教えてくれた。

人種や所得で優越感や劣等感を抱くことの無意味さを噛み締めた朝だった。

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