クウェートでの共通語は、アラビア語と英語。
なるべくアラビア語を話すようにするのが正解だが、足りなければ英語で補う。
留学生同士の会話は、完全にアラビア語で話している人もいれば、英語を話す人もいるといったところだ。
なるべくアラビア語を話したいと思ってはいるが、なかなかアラビア語は出てこない。今は英語で話している。
とりあえず挨拶はなるべくアラビア語ですることを試みている。
不思議なのは、日本人の男子たちと話す時に2人称が変化することだ。
日本語で話す時は名字+くんだが、他の留学生やクウェート人を会話に交えている時など英語やアラビア語で会話する時は、下の名前を呼び捨てにする。
言語の不思議さというものはここにあるのかと実感する日々だ。
これから市民IDを取得するために健康診断を受けなければならないので、寮の受付のセレブおばちゃんたちに交渉した。
彼女たちは英語がそこまでできない(日常会話が片言でできるくらいのレベル)の人が多いので、交渉にはアラビア語が必須となる。
そもそも、たとえアラビア語でコミュニケートできたとしても、こういった重要な件に関してだけは物わかりの悪い人たちなので(普段はとても親切なのに……)、なんとか話を通さなければならない。こちらが了解するまでその場を離れる気は一切ない。
日頃、アラビア語が話せず悶々としている私だが、この時ばかりはなんとかアラビア語を話そうと試みる。
「いつ!?」「その日試験ある!」「明日の朝!わかった!」など、単語を並べたレベルであるが、ひとまず交渉はできた。
彼女たちも私も必死である。
学生や先生はほとんど英語が通じると言っても過言ではない。
私たちは基本的に英語で話しかけられる。
突然もの凄い英語でまくしたてるクウェート人に出会ったこともあった。
そんなことを思えば、日本の感覚はどこか偏ってはいないだろうか。
日本にいて、アジア人に英語で話しかける日本人は少ないように思う。
クウェートでは、どう見てもアジア人である私は英語で話しかけられる。
そもそも、日本では英語があまり通じない。これは外国人にとって非常に不便なことであると私は断言する。
クウェートやタイの空港で英語が通じたおかげで、どれだけ助けられたか。
日本人よ、英語をがんばろう。日本に来た外国人と共に生きて行くために。
私はKaifanキャンパスからShuweikhキャンパスにバスで通学しているので、毎日バスとの戦いも行われている。
授業が始まって3日目、まだどのバスがどこへ向かうのか判断する術を持たない。
ShuweikhからKaifanに帰るバスを待つとき、乗り場で陽気なおじさんに話しかけられた。
「どこからきたの?何を勉強しているの?」とアラビア語と英語でお決まりの質問をしてくれた。
ランゲージセンターでアラビア語を勉強していると英語で答えると、彼は私にアラビア語を話すことを要求してきた。
私は拙いアラビア語で「アラビア語は2年勉強していた、読めるし書けるけど話せない」と、間違いながらなんとか言った。
彼はそれを笑顔で見守ってくれた。
彼にはアラビア語の練習台になってもらおうと思っている。今朝、アラビア語で彼に挨拶した。
アラビア語の上手な留学生と話していると完全に気後れしてしまうので、同じくらいのレベルの学生かネイティブに練習台になってもらうのが一番いいような気がしている。
アラビア語で話ができるのはやはり楽しさもある。
日本にいた時、英語やアラビア語を話している自分は一体何者なのだろうと考えていたが、意外と日本語を話している自分と中身は変わらなかった。
ただ、振る舞いは英語の時は英語ネイティブのアメリカ人のようになる(昔ニューヨーカーに英語を仕込まれたので、私の英語はアメリカ英語だ)し、アラビア語の時は少しアラブ人に似た振る舞いをしているような気がする。
英語の時は相づちも陽気だし、日本語の時は決してしないジェスチャーをしているような気がする。
だが、今のところ日本語で深い話をしている時が一番素の自分でいられるような気がする。
英語圏に留学したらまた変わるのかもしれないが、今はそんな気分だ。
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