2014ー15年度クウェート政府奨学金を受け、クウェートにてアラビア語を学んだ記録。アラビア語やクウェート生活について。
noteに投稿した記事に加筆修正を加えて掲載しています。

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2014年9月30日火曜日

〈エッセイ〉境界を意識する Sep 30, 2014

先日、クウェート人女子学生の家に招かれた。
留学生の支援団体を主催している学生たちがホストになり、私たち留学生を家に招待してくれたのだ。
クウェート人はさすがお金持ち、宮殿のような家で、おそらく20人以上は集まっていたのだろうと思う。
ただし、その場にいたのは女性だけだった。
正確には、ホスト学生のお姉さんの子どもが唯一の男性としてその場に存在していたけれども、男性は本当にその赤ちゃんのオマルくんしかいなかった。

イスラームでは男女の世界を明確に区別するので、こういったパーティーなどは必然的に男女別で開催される。
女性が集っている場に男性が姿を見せることはない。
日本で言うところの「女子会」が行われるわけだが、面白かったのはクウェート人の女子学生たちがいつも身に付けているアバヤやへジャブを身につけていないことだった。
彼女たちは我々非ムスリムの外国人と同じように、思い思いの服を着ていた。

クウェートにいて、真っ黒なアバヤとへジャブを身に纏ったまるで魔女のような女性を見慣れ始めていたからか、なんとなく不思議な心地だった。
それと同時に、アバヤとへジャブは必要ない世界に入り込んだのだと、私は境界の中にいるのだと実感していた。

クウェートにいると、日本にいる時以上に境界を意識する。

「境界」という単語でいつも思い出すのは梨木香歩さんのエッセイだが、日本に本をあらかた置いてきてしまったので読み返すことが出来ないのが残念だ。
梨木さんは世界の家を例に出し、境界について考察していた。
日本は塀で境界を明確にし、イギリスは生け垣で独特な境界を作り、アメリカは家と家との境界こそ曖昧にするものの、銃を用意することで家を守ると言う。

ではクウェートはどうかというと、かなり明確に境界を作っているように思う。
住宅地を歩くことが少ないので家に関してどうだったか忘れてしまったが、大学のキャンパスの周囲は塀と有刺鉄線で囲われている。
有刺鉄線なんて、日本で最後に見たのはいつだろう。

カフェテリアも図書館の座席も男女別というイスラームの国に暮らしていて、私はつくづく境界を作るのが下手だと思う。
日本で私は境界を作る必要のない生活をしていた。
区別すべきは男女ではなく個人であり、相手によって距離感を決め、場合によっては明確な境界を定めていた。
個人主義とはこういうことなのだろう。

学校帰りのバスで、ベトナム人の男子学生と女子学生が隣同士の席に座っていた。
恋人だとか友達だとかそういうことは一切関係ない。日本でも同じことだ。
だが、クウェートではまずそのようなことはあり得ない。異性の隣の座席にわざわざ座ることなど、絶対にない。
だから、この光景をクウェート人や他のムスリムが見たらどんなことを思うだろうかとぼんやりしてしまった。

また別のバスに乗っているときのことだ。
その日のバスは満員だった。例によって前の座席に男性が、後ろの方の座席に女性が座っていた。
途中で女性がバスに乗ろうとしてきたが、空いている席は男性の隣の補助席だけだった。
普通なら座るだろうが、その女性はバスに乗るのを諦めてしまった。
私が男性の隣の補助席に座ってもよかったのだが、男性がムスリムだったら私が横に座ることをよく思わないかもしれないし……などと後からもやもや考えただけだった。

バスのように越えてはならない境界もあるが、クウェートの女子会のように越えてもよい境界もある。

日本で所属していた大学で障害者支援のバイトをしていたとき、よく他学部の授業に出席することになっていた。
もちろん、他学部の建物に入らなければならないわけだが、「なんとなく自分の居場所ではない雰囲気」にいつも戸惑いつつ、バイトに向かっていた。
それと同じで、クウェート大学の他学部の建物にはなんとなく入りづらい雰囲気を感じる。
明らかに外国人である私が学部の建物をうろついていると目立つという理由もあるが、日本で感じていた「なんとなく自分の居場所ではない雰囲気」まさにそれだ。
このくらいの境界なら飛び越えてしまっても問題ないだろう。
よく食事をするカフェテリアの近くに社会科学部と法学部の建物がある。
なかなか素敵な建物だ。いつか探検してみたいと密かに思っている。

【お知らせ】All Aboutに新たに2記事掲載されました!

本ブログの記事がAll Aboutのnews digに新たに掲載されました。

クウェートの女子トイレ事情
中東地域だからこそ気をつけたい。クウェートでの体調管理

また、All Aboutでご掲載いただいているプロフィールはこちらです。
 プロフィールの内容自体は大したことを書いているわけではありませんが、All Aboutに掲載されている本ブログの記事を一覧できます。

当初予想していたよりもたくさんの記事をご掲載いただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
1ヶ月近く生活していると慣れてくるのはよいのですが、新しい発見も少なくなってきてしまいます。
さらにアラビア語の勉強ばかりしていると地味な毎日を送ることになり……
その割に時間だけはあるので、毎日のんびり寝ていたり、といったところですが、ちょうど犠牲祭休暇もありますし、執筆活動にも励みたいと思っています。

他の留学生のように「留学生活楽しむぞー☆」とはいかない私の留学生活ですが、少しでも日本の皆様になにか還元できたらという思いだけは持ち続けています。

2014年9月27日土曜日

【お知らせ】本ブログの記事がAll Aboutに掲載されました!

本ブログの記事がAll Aboutのnews dig——事情ツウたちの時事コラムに掲載されました。
クウェート留学生は考えた「なぜクウェートにはインド人労働者が多いのか?」
クウェート留学生が体験した「アラビア語と英語の使い分けの難しさ」 
男性に接する機会の少ない「クウェートの女性たち」

前々から掲載の申し込みはしてありましたが、いざ載せてもらえるとなると嬉しいものですね。
これからもそれを励みに書き続けたいと思います。

こちらに到着したのが土曜日なので、ちょうど休日が区切り。
クウェート生活4週目の始まりです。
目標を立てつつ、だれないように過ごさなければと思います。

髪の毛にシーシャの香りが染み付いている、、、

2014年9月25日木曜日

アラビア語の授業  Sep 25, 2014 (Thu)

保道が大学に入って以来最もアラビア語をがんばっていると言われている(?)
左は日本でも愛用していたアラビア語ー英語辞書。
クウェートに到着して3週間。
こちらでのメインの活動である「アラビア語学習」について。

私たち留学生はクウェート大学文学部付属のランゲージ・センター(مركز اللغات)に所属し、授業を受けることとなる。
昨年度までは初級・中級・上級の3クラス編制だったと聞いていたが、今年度はまず全員を初級に割り振り、その中でlevel 1とlevel 2の2つのクラスを設け、各自の能力に合わせてクラスを選ぶことになった。

level 1はほぼ初学者向けなので、日本でアラビア語を(曲がりなりにも)専攻していた私はlevel 2を選ぼうと思ったが、level 2の学生があまりにもハイレベルなアラビア語力の持ち主だったので、まったく太刀打ちできず、断念。
ひとまずlevel 1を受講した。
level 1が初級、level 2が上級と言ってもほぼ差し支えない状態だった。

そして、授業2週目のはじめにクラス分けのテストが行われた。
さらにこの週の途中から3クラス編制になると知らされる。
level 1~3の3クラスが開講されるとのことだったが、事実上、新しい先生を招いて初級と上級の間に中級クラスを新設することとなった。
私はテストで中級クラスに数点及ばなかったものの、どうやら交渉したら簡単にクラスを変えてくれるらしい。
というわけで先生に交渉し、中級クラスを受講することに決定。私の他にも数人このような学生がいた。

中級クラスの授業は全てアラビア語で行われる。
内容は比較的平易なもので、自分の生い立ちをアラビア語で話したり、住んでいた街についての文章を作ったり。
扱う文章の内容も、もしかしたら日本でやっていた文章の方が難しいのではと思うほど。

中級クラスのM先生は決して英語を受け付けてくれないので、私もなんとか拙いアラビア語で彼とコミュニケーションをとることになる。
同じクラスの友達が体調を崩し欠席の伝言を頼まれていたが、なんとか「病気」「病院へ行く」という表現を駆使して伝えることが出来たと思う。
このクラスで明らかに底辺レベルの私を、先生は気遣ってくださっているようで申し訳ない気持ちもあるが、アラビア語力よりもきちんと勉強する姿勢を大事にしてくださる先生だ。
先生の姿勢に応えてというわけではないが、宿題だけは必ずきちんとやるようにしている。
といっても、宿題に何時間もかかってしまっているわけだが……

このクラスに日本人は私だけ。
あとは本当に世界各国からの学生ばかりでなんともグローバルな雰囲気だ。
そんな私たちがアラビア語を共通言語としているのはなかなかに面白い環境ではないだろうか。

「アラビア語でアラブの人たちとコミュニケーションをとりたい」という明確な目標のもと、これからもがんばろうと思う。

2014年9月24日水曜日

何が起こるかわからない日々〜誘いは突然に〜 Sep 24, 2014 (Wed)

昨日の出来事と、今日の出来事。

よくわからないが急にベトナム人の友人から「Car Roomへ行こう!!」と強く誘われた。
正直なところ彼女の英語が最初聞き取れず(世界にはいろいろな訛りがあるものらしい)、どこだそれはと思っていたが、他の友達が行くというのでのこのこついて行った。
こういう当たり、日本人らしいのだろうと思う。

Kaifanキャンパスのほど近く、寮が見えるあたりにホンダのショップがある。
そこで「バスを降りろ」と誘ってくれた友人に指示され、一同下車したのだった。

クウェートには多くの日本車が走っている。
クウェート人の友人によると、クウェートに直接輸入されている(もしくはクウェートで生産されている)のはトヨタとホンダのみで、三菱やNISSANなど、他の日本車はオーストラリアから輸入しているらしい。

それで、ホンダのショップの向かいが「車博物館」だった。
متحف السيارات التاريخية القديمة والتقليدية(古風・伝統的な車の歴史博物館)である。
ここが車博物館。

クウェートの国王が乗っていた車らしい(うろ覚え)

ここでは純粋に、昔の車が展示されていた。
アメリカ車のみならず、日本車やロシア車、ベルギーのものなどもあった。
参加メンバーの留学生たち(国籍は様々)はキャーキャー言いながら写真を撮っていただけであったのだが……

また、その隣に車(と言ってもゴーカートに毛が生えたようなものだが)を運転させてくれるスペースがある。
クウェートの道路のミニチュア版が屋内に整備されており、クウェート独特の道路を体感できる。
それぞれ男性には男性の、女性には女性のインストラクターがつき、場内を一回り。
私も運転してみたものの、左ハンドルと右側通行に戸惑いっぱなしであった。
写真を撮り合う友人たち。
この車で場内を走る。スピードは出ない。

そして今日。

いつも遊んでくれる日本大好きなクウェート人に「日本のイベントがあるから行こう!!」と誘われた。
どういうイベントかよくわからなかったが、日本人留学生一同でなんとなくついて行った。

私だけ授業が終わるのが遅かったので、みんなに待ってもらって友人の車で会場へ。
挨拶しに来いと言われ、一同で挨拶へ。
いかにもアラブ風なソファーのあるスペースで、お茶を出されつつ、自己紹介をする。
日本イベントということもあり、「こんにちは」という声はかかったが、英語は決して使わないらしい。
ゆっくりしゃべってもらったこともあり、アラビア語でコミュニケーションをとった。
当初は全く口から出てこなかったアラビア語だが、平易な内容なら少しずつ話せるようになってきた。

すると「取材してもよい?」と声がかかった。
日本語の堪能なクウェート人(長いこと日本に留学して、学位もとったらしい)に案内され、「クウェートTVですよ〜NHKみたいなもの!」と言われつつ、え、それって大丈夫なの、と思いつつテレビ出演。
アラビア語での受け答えができず、悔しい思いをしました。

そして、イベントが始まった。
日本文学に関する講演会だった。
内容に関しては、アラビア語が理解できなかったので割愛。
毎日アラビア語だけの授業を受けているけれども、なかなか難しいものがある。

イベント終了後、日本語を勉強しているクウェート人学生に取り囲まれてしまった。
一度ランゲージ・エクスチェンジをした友人もどうやら来ていたらしい。
これだけ日本語を勉強したい人がいるのだから、私たちがクウェートにいるよ、というアピールをもっとして、交流できたらいいのかとそんなこともふと考えた。

いろいろなことが起こる日々だ。
だが、8割は寝て起きて食べて通学して勉強するという、何の面白みもない平凡な毎日である。
特に、アラビア語を勉強しているくだりは全く持ってつまらない。単語を調べ、訳し、練習問題をひたすら解いている。
だから、「楽しそうに見えて意外と地味」という留学生活の本質を何となく実感しつつある日々である。

2014年9月22日月曜日

健康診断の戦い 〜その2〜 Sep 22, 2014

 健康診断の戦い 〜その1〜もどうぞお読みください

「7時な!」と一応言われていた。
だが、私は当然のごとく「ほんまかいな」と思っていた。
すると、ドライバーは本当に朝7時にやってきた。

さて、病院だ!
……と思ったら、昨日とは違う場所へ連れて行かれてまず焦る。
どうやら移民向けの健康診断所みたいなところに連れてこられた模様。
来ている人の数が尋常ではないので、早めに行って順番待ちする様子だった。
とりあえず、iPadでLOVE PSYCHEDELICOを聞きながら30分ほど待機。

終わると、各々が受付を済ませ、血液検査へ。
クウェートで血液検査、したくなかったけれどしてしまった……
やたらと太い針を刺され、痛かったけれど難なく終了。

次はバスで数分、違う場所へ連れて行かれる。
どうやらX線検査らしい。
気になったのが、日本と違ってきちんとドアを閉めないこと。
いや、大丈夫なのか……
これもとりあえず終了。

で、これで終わり!
終了したのは午前9時でした。
クウェートは朝早くから仕事を始めて昼さっさと仕事を終わってしまうので、この時間に終わるのはよくあること。
というわけで、16時からの授業まで余裕があるので、図書館でのんびりとこのような文章を書いている。

とりあえずこれにて一件落着。

2014年9月21日日曜日

健康診断の戦い 〜その1〜 Sep 21, 2014

クウェートで長期滞在する権利を獲得するために、健康診断を受けなければならない。
基本的に女子寮で手続きをしてはくれるが、これがなかなかに曲者だった。

まず、寮の受付で健康診断の予約を取る。
予約というか、「健康診断いつですか」と尋ねる仕事である。
英語が通じる人と通じない人といるが、基本的に何語であっても話が通じない相手と考えて差し支えない。

このとき、指定された日時が試験と重なっていたので、粘って日程を変えてもらうことに。
そのときは英語が苦手な人にあたってしまったので、broken Englshならぬbroken Arabicで戦うこととなった。
「その日 私たち 試験!」「日曜、OK。木曜、わからん!」と必死に粘り、なんとか変更終了。
ちなみに、集合時間をきちんと言ってくれないので、何時集合か聞き出すのも一仕事だ。
とりあえず「what time?」と言えば通じる時もあるが。

それで、変更してもらった日の朝8時。
病院へ行くバスが来るとの話でした。
どうせ待つだろうとわかっていたのでのんびりおしゃべりなどして待っていましたが、1時間経過。
すると、受付の人が現れ、「ごめん、渋滞でバスこーへんわ。次の日曜日ね!ほんまごめん!」とだけ言って去ってしまった。

……えっ!?

まぁ、謝られただけよしとした。
クウェートの渋滞は日本と比べ物にならないくらい酷い。
朝8時にバスが来られないのは、一応想定の範囲内であった。

というわけで、「次の日曜日」が今日だったので、今朝8時にまた集合。
どうせ待たされるだろうということで、他の学生を横目に見つつのんびりアラビア語の勉強をして待つ。
1時間弱でバスが到着した。

いつも通学に使っているMTのマイクロバスは、颯爽と病院へ。
……向かうはずだったが、なんだか不穏な雰囲気。
ダウンタウン風の商店街に連れて行かれ、ドライバーは私たちをうさんくさいおもちゃ屋の向かいにある建物に連れ込んだ。

正直、身の危険を感じました(涙)

それは映画の世界で見る海外の病院さながらの光景で、受付の女性(怖そう)が叫びながら患者をさばく。
待合室には人が溢れている。
私たちのように長期滞在ビザを申請するために検診に来ている人ばかりなのか、インド人と思しき移民が多かった。

せめてもの救いは、ドライバーがきちんと私たちを案内してくれ、書類も準備してくれていたこと。
なぜか1KD払わされたが、それはご愛嬌。

ここでもどうせ待つだろうと思っていたら、案の定待たされる。
おそらく2時間以上は軽く待っていた。
他の学生はイライラしていましたが、私は予想していたのでKindleで太宰治を読みながら(しかも若干感動しながら)待っていた。

するとドライバー、「ごめん、今日は無理だわ。また明日。」

……は!?

これだけ待たされて、また明日だそうです。
明日、またバスを出してくれるそうです。
いやもう知らんがな。怒りも呆れも通り越して、なんだかおかしかった。

ドライバー曰く、「明日7時集合な!そしたら8時半には終わるから!」だそう。
全く信じていないのでちゃんと私はKindleを準備しておく予定。

というわけで、「健康診断の戦い」はnext timeがあるということです。乞うご期待。

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