それは私のちょっとした思いつきから始まった。
知人の日本人女性から、「へジャブをしているとボラれにくい」という話を聞いた。
どうもアジア人女性は舐められやすいらしく、市場で買い物をしていると不当に高い金を払わせようとしてくる人たちにしょっちゅう出会うのだが、へジャブをしているとどうやらその確率が下がるらしい。
というわけで、試験がようやく終わったルームメイト(日本人)と検証に行ってきた。
夕方に買い物へ行こうという話はもともとしていたので、なんならへジャブしていってみよう!ということだ。
彼女も同様、普段へジャブは身につけない。
行き先は、クウェート最大の市場「スーク・ムバラキーヤ」である。
ここで、「へジャブって何?」という方のために説明しておきたい。
へジャブとは、ムスリム女性が髪の毛を隠すために頭に被る布のことである。
日本人でムスリムではない私がへジャブを身につけたら、こうなった。
完全に瀬戸内寂聴だ。(スーク・ムバラキーヤにて撮影)
部屋でワイワイ言いながらへジャブを身につけた後、寮を出ようとしたら受付のおばちゃんたち(美人・おそらくエジプト人)に声をかけられる。
「きれいねー!いいわね!」とめちゃくちゃ褒められた。
友人はへジャブを上手に身につけられていなかったので、おばちゃんに綺麗に整えてもらった。
さすがはムスリマ、へジャブのプロである。
タクシーで行こうと思っていたが、ムバラキーヤ方面のバスが来たのでバスに乗車。
クウェート大学の学生は無料でバスに乗れるのでラッキー。
ただ、バス内の治安はあまり良くなさそうなので、女性は特に複数で乗るのがベターです。
無事にムバラキーヤ到着。
とりあえず、第一の目的である両替所へ向かう。
スーク・ムバラキーヤの両替所は身分証明書なしで両替ができるのと、他の両替所よりも若干レートが良いのでよく利用する。
両替所へ向かう途中、なんだかいつもよりも声をかけられる!?
普段へジャブをしていなくても声はかけられますが……。
一番レートの良い両替所を探し、ワイワイいいながら両替してもらう。
今回の両替所のおじさんはイラン人でした。
両替が終わり、ご飯を食べて何となく買い物をして帰ろうか〜と言うことで、何となく歩いてみた。
クウェートで売っているへジャブやスカーフ・ショールの類いは比較的安価で質もよく、デザインもよいので、そういう店をめぐっていたら、へジャブのお店にたどり着く。
値段は1KD~2KDだった。装飾がつくと高くなるらしい。
長居していろいろ見せてもらったけれど、私はラメ入り素材の黒いへジャブが気に入ったので、購入しました。
自分用に1枚、お土産用に1枚。合計で3KDだったけれど、「2.5KDでいい?」と尋ねて特別にこの値段でOKとのこと。
値切りに成功した。
第一の調査目的である「へジャブをしていると本当にボラれないのか」である。
私たちが長居している間、クウェート人女性が買い物に来た。
聞き耳を立てていると、店員が彼女に提示した値段は私たちに提示した値段と同じであった。
どうやらボラれていないようだ。
あとは普段と同じ調子で買い物ができたので、割愛。
印象的だったのは、インド人と思しきおじさんに「ディスカウント!!!」と叫ばれたことくらいだろうか。
「いっぱい値引いてくれる?後で行くわ!」と答えたが、行きませんでした。すみません。
各々好きな物を買い、帰りはタクシーにて。
今日のタクシードライバーは陽気なパキスタン人だった。
彼の英語は非常に訛りがキツく聞き取りにくかったが、私たちが日本人だとわかると「日本の車、最高!スズキ!あなたたち友達!」と嬉しそうだったので良いことにする。
彼から「あなたたちはムスリムなの?」と尋ねられた。
私はどう答えようか一瞬悩み、「違うよ。試してみてるだけよ。」と答えることにした。
彼は「え、そうなの?まぁいいじゃん!綺麗綺麗!」というようなことを言っていた。
今日、一番興味深かったのは寮のおばちゃんたちの反応だ。
彼女たちは私が普段へジャブをしないことを知っている。
彼女たちが何と言うか少々心配だったが、手放しで褒めてくれたのが嬉しくもあった。
私たちがこちらの文化に馴染もうとしているように写ったのだろうか。
まぁ、何はともあれ、楽しいひとときだった。
今後はオシャレへジャブ、ワンチャンありそうです。
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